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東日本大震災情報
実習室2棟流出、校舎全滅状態
教室はヘドロとガレキに埋め尽くされて

=東日本航空専門学校[宮城県岩沼市]=

3・11東日本航空専門学校ドキュメント
■奇跡の全員生還

 卒業式を終えた学校では、新2年生の企業説明会が開かれていた。3月11日午後2時46分頃、巨大地震発生。長く激しい揺れが校舎を襲った。

 学校の指示で学生全員がグラウンドに避難した。カーラジオで気仙沼の津波情報をキャッチ。自衛隊出身の谷津田武寛寮監は「もしかしたらここにも津波が押し寄せるかもしれない」と直感し、海岸の松林のあたりを監視していた。学校は海岸からわずか1・3キロメートルしか離れていない。そのときだった。海岸の松林がバタバタと倒れるのが目撃された。

 「津波がくるぞ!」と叫びながら、他の教員とともに学生を体育館に避難させた。地震発生から30分後のことだった。津波は「水の壁」(地元民の目撃情報)のように大きく、猛烈な速さで海岸沿いの工場や住宅、車などあらゆる物を一気に呑み込み、弄んだ。

 学校の東門の道路を隔てたところに遊水池があって、そこに海水がどっと入り込んだために、津波のスピードが一瞬鈍った。谷津田寮監は「あの遊水池が学生の命を奇跡的に救った」という。

■窓のカーテンで暖をとる

 学生たちは教員の誘導に従って体育館の2階にある部活の部屋に全員が避難した。津波は体育館の舞台の高さスレスレまで押し寄せた。

 やがて、外は夕闇となり、学生は着の身着のままの姿。電気などのライフラインはすべて遮断され、しかも外は雪。ロウソクはもちろん、暖房も何もない。教員の一人がとっさに判断を下した。「窓のカーテンを引きちぎって暖を取れ!」と指示。学生達は一斉に窓からカーテンを引きちぎって身体にかけた。

 暗闇、恐怖の中で学生達はカーテンを布団替わりにしてわずかな暖をとり、身を寄せ合って眠れぬままで夜明けを待った。

■泥沼地を4時間行進

 5時半、教員は学生の安否を点呼で確認、幸いケガ人は一人もいなかった。学校からの脱出を思案するも、海水が引かず、食料は皆無。隣接する大手の運送会社からソーセージの差し入れが届き、学生に1本ずつ支給した。

 9時45分、岩沼駅、名取駅の2手に分かれて教師の引率で脱出行動を開始。ひざまでズボズボぬかる泥沼地を、駅に向けた行進が始まった。辺り一帯は想像を絶する光景が広がっていた。津波で押し流されてきた家やクルマ、樹木などが散乱し、それはまるで戦場のような風景だった。

 いつもならゆっくり歩いて2時間余りの道のりを、4時間もかけて目的地に到着した。しかし鉄道は不通となっていて、避難所に充てられた警察署に身を寄せた。

 津波は海岸沿いの住宅やクルマ、樹木を根こそぎもぎ取って岩沼、名取地区の田んぼに運び、返す勢いで再び被災地を襲撃し、住民の営みを徹底して破壊、決定的なダメージを与えたのだった。

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