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東日本大震災情報
新宿調理師専門学校

福島県いわき市で農業体験、風評被害を目の当たりに
●写真左はジュースの加工行程でトマトのヘタを取る学生

 東日本大震災の風化が懸念される中で、新宿調理師専門学校(上神田梅雄校長=東京・新宿区西新宿)は7月17日、福島県いわき市の農家を訪ね農作業実習を行った。

 原発被災地の福島県では、いまだに被災者は仮設住宅で不便な暮らしを強いられ、いわき市の農水産物は原発事故に伴う風評被害により生産者は苦しんでいる。

 同校では、普段恵まれている生活に「感謝」し、被災者から学ぶことを目的にこのバスツアーを実施した。キャッチフレーズは「ブランド野菜の安全性と農業の実際を学ぼう」というもので、現地へ笑顔と優しさを携えて向かった。

 同校はこれまで、平成23年7月に宮城県気仙沼市、平成24年7月に同女川町、平成25年7月に福島県南相馬市などの仮設住宅を訪問して被災者を支援、また同11月に福島県双葉町から埼玉県加須市の旧騎西高校に避難していた被災者や、平成26年7月福島県南相馬市の集会場で炊き出しなどを行って支援活動を展開、被災者と交流を図ってきた。

 一行は上神田校長を隊長に引率教員7人、学生・生徒77人の総勢84人が2台の大型バスで早朝7時に新宿を出発、10時、いわき市役所に到着した。

 作業服に着替えた学生は、いわき市内のとまとランドいわき、あかい菜園、大野水耕生産組合の受け入れ農家3か所に分かれて訪問し、作業内容の説明を受けたあと、ビニールハウス内でトマト苗の植え付けや手入れ、ブルーベリー収穫作業の手ほどきを受けながら真剣な表情で作業を行い、汗を流した。

 またパックに詰めたトマトに検査済シールを貼る出荷準備の作業や、傷みのあるトマトをジュース加工するためにヘタを取ったりして、栽培から出荷までの作業工程も学んだ。

 このあと地元農業の現状について農家から話を聞いた=写真右=。放射能全量検査で数値に問題のない農産物が風評被害で売れず、売上は震災前の半分以下に落ち込んだという農家の厳しさを目の当たりにしながら、参加した学生は農家から提供された豊かな自然の甘いトマトを味わっていた。

 昼食では、前日に学生が調理したおにぎりや揚げ物、煮物などを持参して農家の従業員らにふるまい交流を図っていた。

 調理師本科の村田敏男さんは「最大の支援は商品を購入し、企業の利益に貢献することだと思う。当校の食材に積極的に福島産を取り入れるべきだ」と話した。また同科の宇山礼さんは「この学校見学の際に被災地訪問のDVDを見て感動した。何かしなければという気持ちがあったが機会がなかった。今日とても貴重な体験をすることができた」と振り返った。

 上神田校長はこれまでの被災地訪問について「災害のないことを願うが、学生が調理師になるために心を育む授業の一環として被災地訪問は続けていきたい」と述べた上で、「参加する学生が被災地への思いを強くしてくれたことがうれしい。食を通じて喜びを体得し、さらに人から感謝されることを感じさせたい」と語った。

 同校では、毎年1月に開催される恒例の「調理祭」で、福島県産の米や野菜を使った学生レストランやデモンストレーションなどのイベントを企画、農業体験で学んだ成果を来場者に伝える予定だ。


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