大阪府立園芸高等学校 3年

藤 原  佐 智
 

「情熱を持て! 明日のために木を植える」
 
 私は環境問題、特に地球温暖化に興味をもち、高校入学以来、さまざまな環境活動に参加しています。特に植林活動では、木を植える意味や方法について学びながら、環境・人類の未来について考えさせられました。この体験を通して将来の夢、仕事について考えるようになりました。

 植物が好きで、農業高校に入学した私ですが、「地球温暖化を、どうすれば防げるだろうか?」というのが、高校入学以来の疑問であり、「私に出来ることは何か」というのが、私自身に課した大きなテーマでした。

 そして私に出来ることは…緑を増やす事。簡単ではないけれど、出来ることからやってみようと思い、高校2年の春、初めて植林活動に参加しました。

 初めての植林活動は、大阪府でブナ林が残る数少ない場所である和泉葛城山でした。ブナの原生林の隣には、放置されたスギ・ヒノキの人工林がありました。この手入れがされていない人工林を整備し、やがてはブナの森にするというのが植林活動の目的です。私の木を植える・緑を育てる活動は、ここで間伐という木を切ることから始まったのです。そして植林後10年経過しているというブナの木は、2メートルほどの高さにしかなっていませんでした。森を作るのは簡単・単純ではないことを知りました。

 高校2年生の夏、私はマレーシアサバ州ティウロン村にいました。夏休みを利用して、一週間の植林ワークキャンプに参加したのです。ホームステイをしながら、「現地の人の為に木を植える」という植林活動でしたが、「太陽 近いな!」と感じるほどに、8月のボルネオは、それまで私の体験した事がない日差しの強さでした。植林予定地は、雑草が茂り放題の状態となっていました。そこを、大きな刀のような道具で、私の身長より伸びた雑草を刈り整地する作業を行いました。噴き出す汗を拭きながら、「現地の人の生活の為の植林?」「森を作るんじゃないんだ!」と自問自答をしながら、私の植林活動は続きました。

 植えた木はアカシアとゴムノキでした。現地の人が生活をするための植林活動。それは緑を育てる、森を作るという私の思いとは少し異なるものでした。「この植えた木が育ったらどうなるの?」私はボランティアのリーダーに聞いてみました。

 リーダーは言いました。「今、私達が植林している場所は、昔は森だったんだよ。しかし森の木は切られて、薪になった。そして焼畑を行った。しかし作物が作れなくなると、放置されて雑草だらけの荒地になった。木を切ることは悪い事だというけれど、みんな生きていかなければいけない」リーダーの説明は続きます。その時、私は、現地の人のために木を植えるという、この植林ワークキャンプの目的を本当の意味で理解しました。アカシアもゴムノキも、ここボルネオに自生していた木ではありませんが、現地の人の利用する燃料やゴムという貴重な現金収入を生み出す。ここで私の植えた木は、現地の人の生活を支え、まだ残っている森を守る事になるのです。こんな植林もあるんだと思いました。この植林活動は、まだ始まったばかりですが、現地の人も、やがてこの植林の意味に気づくはずです。明日のために、少しでも木を植えよう。少しだけ達成感があった、植林活動でした。

 そして、これらの体験を通して、環境を守るという仕事に従事したいという思いを強くしています。「地球温暖化」に興味をもち、「緑を増やす」活動に参加しましたが、木を植える・緑を育てるのは考えていた以上に、複雑で難しい事だと知りました。大切なことは、明日の為に何かに取り組む、情熱だと知りました。


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