山形女子専門学校高等課程 3年

須 藤  瑞 希
 

「バイトが気付かせてくれたこと」
 
 私は母の影響で手芸や物作りが好きです。小物・ぬいぐるみ等、教えてもらいながら作る楽しさ・仕上げる喜びを自然に覚えたのだと思います。そしてもう一つは私が感じる手作りの力。手作りの物をよしとする価値観が私を引きつけるのだと思います。

 私の家の玄関正面には、母が作ったパッチワークのタペストリーが飾ってあります。80センチ四方の白地に花柄プリントが組み込まれ、リーフ模様がキルティングされている大作です。中学生の時、家族の集まる居間で母が夜、一針一針丁寧に仕上げた物です。小さな物が形をなして完成する過程を目の当たりにした私は、このタペストリーが大好きです。これを見ると私は家に帰ってきた安らぎを感じ、癒されます。私にはとても大切な存在です。

 そして、「物作りに携わりたい」という漠然とした思いを持つ私に、さらに作ることの楽しさを教えてくれたのがこの学校であり、イベント会社のアルバイトでした。

 1年生の春、求人誌で「イベントスタッフ募集」という言葉と派手な衣装・笑顔の写真が目に入り、楽しそうという気もちで始めたものです。イベントというだけあって、様々な催しが会場にあります。初めは会場整理や準備等をしていましたが、社員の1人が私の通う専門学校の存在を知って「少し直しをやってみない?」と声をかけてくれたのです。洋服の手直しから始まったお手伝いは、デザインの提案・布選び・制作と広がっていきました。

 仕事を任せられ、認められ、幅が広がるというのは、すごく嬉しいものです。また、「いいね。」とか「お疲れ様。ありがとう」というねぎらいの言葉をかけてもらったり、自分の存在が必要とされていることを実感したときは、大きな達成感を持ちました。

 スタッフとして手伝う以外に、MCやピエロの衣装の手直しも私の仕事の一つになっていったのです。

 子供の人気を集め、注目される存在の衣装を作るのは楽しいものです。ふだんかわいいと思っても、派手すぎるとか、奇抜すぎるといって手にしない物を挑めるのも、大きな魅力でした。大きなハートを背中にアップリケし、同じハートのポケットをつけたギンガムチェックのサロペットを仕上げた時は、とても嬉しかったし、お客さんの反応が楽しみでした。

 またメイクが加わると衣装はぐっと引き立つこと、小物にも大きな影響力があることもわかりました。ちょっとした工夫で子供達が目を輝かせるのをみるのも大きな喜びでした。こんな衣装を作りたい。こんな小物を作りたい。思いは広がります。洋裁にはこんな分野もあるんだと教えてもらったアルバイトです。

 でも一方で、一日中行われることが多い休日イベントは、体力的にもきつく、文化祭の時期は両立が厳しかったというのも正直な感想です。両方とも自分が決めたことなのでやり通そうという強い思いと、責任感でやり抜きましたが、仕事は体力、気力が充実してこそいい物が出来るという事も実感しました。このアルバイトを通して将来は舞台衣装を手がけたいという思いもわいています。

 今の時代、安く買って使い捨てにしたり、見た目だけを重視した物が氾濫している気がします。そんな中、着る人、使う人を思い、技術を高める。丁寧に仕上げ、人を勇気づけ、楽しませる。さらには、良い物を通して人々に物に対する意識改革ができたら…。そんな物作りに関わって生きたいなあと思います。


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