岐阜県立岐阜農林高等学校 3年

山 腰  正 光
 

「朝市で新名物を売る!」
 
 私は故郷飛騨高山の朝市で古代米を使ったオリジナル五平餅の販売を行います。

 私の家は高山陣屋前朝市で店を出しています。高山の朝市は、日本三大朝市に数えられ、300年以上の歴史があります。陣屋前には50軒の店が並んでいます。市が開かれている時間は、朝5時半からお昼の12時までで、毎朝5時前には店の準備が始まります。

 店で販売しているものは餅、みそ、米、漬け物です。全てわが家でつくられたものばかりです。800アールの水田の一部でもち米をつくり、草餅、豆餅、紫蘇餅など10種類以上の餅をつくります。また古代米の黒米、赤米の生産・販売も行っています。みそは米麹に大豆を加えて熟成させた米味噌で、1年熟成のものから3年ものまでがあり、なかなかの人気です。

 店で売る商品の製造は主に父が行い、市での販売は母と祖母が担当しています。私は中学まで、暇さえあれば農作業や加工品づくりの手伝いにかり出されていました。でも嫌になったことは一度もありません。わが家で収穫したものを、家族で加工して販売する。こんな幸せなことは無いと思います。そして、人一倍仕事に情熱を傾けている父の姿を見て、将来は父の手助けをしたいと思うようになりました。

 私は、長男として店をこれからどうすればいいのかとよく考えます。店の強みは、商品が全て自家製であることですが、加工品の種類の少なさが弱点だと感じました。そこでビタミンが一般的な米より多く、抗酸化作用をもつといわれる古代米を単に販売するだけではもったいないと考え、古代米の加工品づくりを思い立ちました。

 私がいま可能性を一番感じているのが古代米を使った五平餅です。ご飯に炊きあげた黒米を混ぜ、それを串にまとめ、自家製の味噌を付けて焼く。試作品では、香ばしい美味しいものができました。市で出す場合は、長期間の保存が可能な真空パックの五平餅に、自家製の味噌をつけて販売しようと思っています。うるち米と古代米の割合をいろいろ変え、味や歯ごたえなどを研究した結果8対1の割合がよいと感じました。

 原価計算の結果、蒸し米40gに砂糖を加えた自家製の味噌10gを付けて1本当たり40円でできます。それを100円で売れば60円の利益が出ます。朝市に出した場合、餅の売れ具合から一日150本の販売は可能だと思います。五平餅だけで月の売り上げは45万円となります。

 父にこのことを話すと、「わが家の味噌を使った五平餅も嬉しいが、エゴマを使った高山らしい五平餅もどうだ」と父はいいます。エゴマは紫蘇科の植物で、古代米と同じぐらい古い時代から使われ、地元ではあぶらえと呼ばれています。半信半疑でエゴマでたれをつくってみたところ、黒米の食感とエゴマの風味がする最高の五平餅ができました。

 さらに製造のヒントを得るため、黒米から大福の皮を作っている岐阜市近郊の和菓子メーカーの工場へ行き、話を伺ってきました。黒米からの五平餅づくりを提案したところ、「それはおもしろい。月一回行われている工場の直売イベントで試作品を出してみないか」といわれました。

 この工場には、卒業生の先輩が数人働いておられ、試食コーナーの話を聞いて驚いている私に「もしわからないことがあればいつでも連絡してこいよ」と先輩は励ましてくれました。また岐阜大学で古代米を研究された先生からその栄養価について伺い、古代米のもつ高い健康効果を生かせるのではないかとのアドバイスをもらいました。

 私は今、親元を離れ寮生活をしています。父は「自分たちが元気なうちはいろいろなことを学んで来い」と進学を応援してくれます。私は大学へ進学し、朝市に出品することのできる新名物の開発をするとともに、その販売について深く学びたいと考えています。

 近いうちに私の古代米をつかった新しい名物が、陣屋前朝市に並んでいるはずです。楽しみにして下さい。


[閉じる]