埼玉県立川越総合高等学校 3年

小 泉  萌 子
 

「チャレンジ! これからの野菜販売」
 
 「こっちのにしよう、値段が全然違うから。」私の家と契約しているスーパーに、父とその日収穫した野菜を卸に行ったときのことです。見ると、一組の夫婦が私の家で卸した野菜ではなく、外国産の野菜をカゴに入れているところでした。

 私がその野菜の値札を見ると、私の家の野菜とはかなりの開きがあったのです。その様子を見ていた父が、とても悲しそうな顔をしたのを今でもはっきりと覚えています。このことがあってから、私は野菜の生産や販売について色々と考えるようになりました。

 私の家は埼玉県の狭山市でトマトなどの果菜類を栽培し、両親と私たち兄弟の手伝いで営む農家です。収穫した野菜は、スーパーへの出荷を中心に行ってきました。私は小さい頃から、当然のように家の手伝いをし、父や母と一緒に栽培から収穫、そして出荷までの一通りのことをやってきました。そうした中で、先ほどのような消費者の声を聞き、「もっといい販売方法があるのかな?消費者が求めているものって何だろう?私の家の野菜をもっとたくさんの人に食べてもらいたい!」と思うようになりました。実際にスーパーで私の家の野菜を買ってくれた方たちに、積極的に意見を聞きました。たくさん頂いた意見の中で一番多かったのは、「外国産ではどんな危険な農薬を使っているかわからない。少しくらい高くても、国産の安心出来る野菜が食べたい。」というものでした。このことを、家族でたくさんの意見を出して話し合った結果、家族で出した答えが、契約スーパーへの出荷ではなく、直売に力を入れることでした。

 私の家では、今までも直売をしてきましたが、スーパーへの出荷分のあまりを庭先で無人販売する程度でした。しかし、消費者の方の声を聞き、「生産している人がわかって、さらに作っている所を実際に見ることができれば、もっと安心して購入できるはず。」と思い、3年前から直売に力を入れるようになったのです。また、直売に力を入れるだけでなく、少しでも安全な野菜を作るために、色々な工夫をしています。

 特に力を入れているトマト栽培では、農薬も必要最低限の使用量になるようにしています。農薬を制限すると、病気や害虫による被害が増えます。病気については、それ以上に被害が広がらないように見つけたらすぐに取り除いたり、害虫には害虫誘引テープを温室内に吊るしたり、害虫の天敵であるオンシツツヤコバチを放すなど、極力農薬を使わない努力をしています。

 受粉作業などでも、それまではホルモン剤を使っていましたが、最近では蜂を使った自然受粉なども取り入れています。また、農薬を制限するだけでなく、化学肥料を抑えるため、牛糞や落ち葉を発酵させた堆肥を使用しています。農薬や化学肥料を制限したことで、以前に比べ収穫量は落ちました。しかし、そうした栽培の取り組みをプリントにまとめて野菜と一緒にして販売するなど、お客さんにPRをしていきました。

 この取り組みが実を結び、「おいしくて安全なトマトが買えると聞いて来た。」と言って、遠くから来てくれるお客さんも現れました。毎回買いに来てくれるお客さんもいて、年を重ねるにつれてお客さんも増え、家族で「大変でもやって良かった!」と話しています。

 しかし、私はまだ満足していません。私には新しく考えている販売方法があるからです。それは、イチゴ狩りなどのようにお客さんが自由に温室に出入りして、自分の目で選んだ野菜を収穫し、購入するという方法です。この販売方法ならば、お客さんは生産の現場を直接見ることができ、自分の欲しい野菜を安心して買っていくことができます。

 この方法では、今以上に病気や害虫の問題も出てきてしまいますが、農業についてさらに知識や技術を身に付け、解決方法を考え、私の夢であるお客さんがもっと安心して野菜を買えるようにしたいです。私の夢実現のため、これからもたくさんのことにチャレンジしたいと思います。


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