鎌倉女学院高等学校 3年

田 熊  真 帆
 

「私の夢」
 
 私の夢は助産師になることである。人々の人生に携わる仕事である助産師の仕事に、大変魅力を感じている。

 助産師の職域はとても幅広い。出産時の介助を行うだけでなく、母親の産後のお世話や沐浴、授乳の指導を行う。また退院後、家庭訪問をして育児相談に乗ったり、定期的に行われる乳幼児検診で、赤ちゃんが元気に育っているかを確認したり、個別相談に乗ったりもする。

 さらに、思春期においては健康教育や性教育、成熟期には結婚や家庭生活における衛生教育や家族計画、中高年者に向けては自己健康管理と、幅広く人々の心とからだの相談に応じることも大切な仕事である。人々の健康な生活を援助する役割を担っている助産師の仕事は、社会に貢献できると考えた。

 私は、その夢の実現への第一歩として、家庭育児支援のボランティアに所属している。

 近年、核家族化や地域社会との繋がりが稀薄になる中、育児に不安を持つ人が増えていると聞いた。特に母親に子育ての負担が集中している日本では、密室育児になりがちだ。密室育児は、母親の精神状態が不安定になり、育児ノイローゼや育児放棄、虐待など、様々な問題に繋がる可能性がある。

 私が活動しているボランティアでは、この現状を改善するために、子育ての不安や悩みを相談したり、情報を共有できる地域での子育て支援の場を提供している。私は学生による家庭への訪問に従事している。そこで、実に貴重な体験をしている。活動を通して、小さな子供を連れて出かける事や、家事をしながら子供と関わる事など、育児の大変さを身をもって知った。

 私達が母親の代わりに子供達と遊ぶことで、家事が捗(はかど)り、自分の時間ができ、充実した一日を過ごせたと言ってくれた。「母親が充実していると、心にゆとりができて、子供に優しくなれるの。穏やかな一日を過ごせたわ。ありがとう。」と感謝された。自分が人の役に立てたことを、本当に嬉しく思った。

 この経験から、育児は他人の手を貸りることも必要なんだということを実感した。だから私は、子育てに苦労している家庭に適切な助言をし、母親の行き詰った精神状態を緩和し、サポートできたら何て素晴らしいことかと思った。そして子育てを楽しいと思う人が増えることで、少子化を少しでも解決できたら良いと思う。

 また、性行動の低年齢化に伴い、避妊に関する知識不足や認識の不十分から、望まない妊娠をして児童虐待や10代の中絶者、性感染者が増加しているという情報を聞いている。10代の中絶者は年間5万人にものぼるということを知り、私は非常に驚いた。中絶は女性に身体的にも精神的にもとても大きなダメージを与える。

 これに対し私は、小学生のうちから性や生命の尊厳について考えさせ、正しい知識を与えることで、間違った情報や周囲の人々の話に影響されずに、自分の性行動に対し責任を持って行動できるよう指導したいと考えている。

 中高生に対しては、性教育はもちろんのこと、将来妊娠するかどうかに重大な影響を与える思春期のダイエットや飲酒、喫煙などに関する正しい情報を与え、自分の健康を自分で守れる力を身につけられるよう指導したい。

 これらの夢を全て叶える為には、社会の変化に先見性を持って適応し、思春期から中高年まで幅広く人々の健康な生活を援助する役割を担っている助産師の仕事に就くのが、相応しいと感じた。

 そのために、私は大学の看護医療学部に進学し、専門知識を習得し、更に社会に貢献できるよう努力したい。


[閉じる]