静岡県立磐田農業高等学校 3年

丹 羽  將 登
 

「農家未来計画」
 
 私はクラウンメロン生産農家の三代目です。夢は、父の後を継ぐことで、目指すのは低コストで高収入のメロン農家です。そのために、どうすれば良いか体験をふまえて考えてみました。

 高校では、インターンシップでJA遠州中央農協園芸流通センターに行き、海老芋や青果物の梱包を行ったり、高糖度トマトや長ネギの生産農家で作業を見学したりしました。その内容として、多くの海老芋が流れてきて、ほぼ100%の精度で大きさを選別する機械を操作したり、長ネギの外皮をむく世界に一台しかない装置を見学したりして大変驚かされました。そこでは、機械化による大幅な人件費の削減および省力化が行われていました。

 そのことを参考にすると、同様にメロン栽培においてもコスト削減は重要課題となります。なぜならば、売り上げに対し約65%もの経費がかかるからです。経費を削減しなければ収入増には繋がりません。メロンは、生育に適した温度にするために重油が沢山必要になります。重油の値段が高騰すると、重油が経費の半分以上を占めるという結果になり、売り上げが減少し儲けが少なくなってしまいます。

 その対策として、最近トウモロコシや菜種油等のバイオ燃料の研究がされています。この研究がさらに進み、低コストで安く大量に使えて、環境にも優しい燃料として、それを燃やす設備が開発されればコストを一段と削減できるはずです。また、太陽光発電や風力発電により、温室の暖房費をほぼ無料化して、低コスト削減を試みるのも良いと思います。

 次に、農作業を省力化する試みとして、仕事の効率化を図ることについて考えてみたいと思います。例えば水耕栽培などにすれば、養液の管理なので、土のように一鍬一鍬耕したり、何種類もの肥料を通りごとに撒いたりするなど、手間のかかる作業を省くことができます。また、農作業の支援をする作業補助ロボットを開発すれば、苗の運搬や農薬散布作業、収穫作業、残渣処理作業などが軽減されると考えます。

 ところが、今までに挙げた方法のデメリットは、設備投資に非常に経費がかかってしまうことがあげられます。しかし、長期間使用することを考えると、決して無駄な投資ではありません。

 今の世の中は、高額でも非常に質の良いものが求められる半面、質が少々劣っていても安価なものが求められるという二極化の現象が見られます。それならば、私は大規模経営で、高品質の物を大量生産するという考え方でいったら良いと思います。そのため多くの人数が必要となりますが、機械化が成功すれば、それほどの人数は必要としないはずです。

 私の家は、330坪の温室6棟と田畑が約1ヘクタールあるため、大規模化を図るために、田畑の半分ほどに大型温室を建てたり、集約的な栽培方法として、LEDなどを使い植物工場のように、メロンを栽培出来たらおもしろいと考えています。

 このように未来の夢を模索している自分に対して父は、農業よりも収入が安定している、農業改良普及員の資格を活かした職業や公務員などの農業指導者を勧めてきます。しかし、農業というのは、植物という「命」を生み出し、それを人間が食べることで消費する。ということはつまり、人間の「命」を繋いでいるということです。だからこそ、私は農業を大切に感じ、そして誇りに思っています。

 将来は、高校での経験を活かして大学に進学し、そして基礎栽培学や最先端の植物工場技術を通じ、さらなる技術や知識を習得し、私の農家未来計画を実現しようと決意しています。


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