山形女子専門学校高等課程 1年

三 澤 佑果子
 

「若者に労働意欲を」
 
 私は将来、洋服のクリーニングを仕事にしたいという夢を持っている。洋服の専門学校に通っているだけに、洋服への思い入れは昔から強かったと思う。お気に入りの服にシミをつけた動揺。それが綺麗になって返ってきた喜び。ひだのとれかかった制服のスカートが折り目加工で蘇った喜びなど、数えあげたらきりがない。できればクリーニング専門店で技術者として学びたいというのが夢だ。

 まだ私が小さかった頃には、自宅で仕事をしているクリーニング屋さんがあった。蒸気が出ているアイロンでワイシャツを仕上げていく。その技にほれぼれしたものだ。衣替えの時は、新品同様になった制服に袖を通すのが新鮮だった。

 それが朝出すと夕方には仕上がる大型チェーン店があちこちにでき、町のクリーニング屋さんはどんどん無くなっていった。ボタンが取れそうになっているとつけてくれたり、ハンカチが入っていたからと洗ってアイロンを掛けてくれたちょっとの、期待していなかったサービスがなくなった。洋服の直しや掛け接ぎの技術もクリーニング店ではあまり扱わなくなった。都会の大きなホテルには専門の技術屋さんが入っているというがごくごく少数だ。

 もちろん見ていると店には新たな対応が求められている。一時期にお客さんが来るときのさばき術。たくさんの中からいかに正確に、早く手渡すか。相手の要望を聞き取るか。工場とお客さんの中間者としての気苦労は多いと感じる。ただ、今のクリーニング店は私の憧れる仕事人ではなく、あくまで接客業だ。私の望む分野は工場勤務となるのだろう。

 私は就職を希望する今、仕事人として育ててくれる会社が少ない現実に驚いている。友達の多くは正規の社員として長く頑張りたいという希望を持っているのに、目に付くのは派遣やアルバイトの求人だ。当面若い時はそれでも構わないが、結婚して自立、子供が生まれると、途端に生活に破綻が来る。子育ては家事労働に新たな負担を強いる。体力的にきつくなる上、子供の病気がつきまとうからだ。休めば収入は減るし、首を切られる不安も出てくる。シフトがしっかり組める、新しい代わりの人を会社は求め、人材はすぐ見つかるからだ。

 もちろん手慣れた人がいいにこしたことはないが、若い子ほど早く順応する。私の姉家族も今は別世帯をやめ、同居という選択をしている。自立とはほど遠い生活を見ていると、結婚した場合、せめて一人は正規での採用をして欲しいと痛切に感じる。もちろん当人に問題があれば対象外だが。

 この生活を見ている私は苦労しても、とにかくスキルを身につけたい。誰でもできる仕事ではなく、私が求められる仕事を見つけ、働いている間は向上し続けたいと考える。できれば憧れのクリーニング技術を教えてくれる会社、そうでなければ洋裁の技術を生かし、更に技術を磨ける職場を探していきたいと考える。

 みんなが働かないと食べていけない時代と言う。しかし、若者が仕事に目を向け、学ぶ体制が学生時代作られているのか。職場が高校・大学・専門学校卒業生を受け入れるだけあるのか。介護職は働きながら学び、給料をもらえる制度があるという。しかし若者が全て介護職に就けるわけでもないし、それがいいとも思わない。

 是非、門戸をもう少しいろいろな職種に広げて欲しい。また、同じ仕事内容と責任を負う仕事に、正規と非正規の区別があるのはおかしいと私は思う。学生時代はアルバイトで多くの職を経験してもいい。ただ社会人は教育期間を終えたら、正社員として認めてもらえる制度ができないだろうか。

 ただいま就職活動の真っ最中。なんとか頑張る私をバックアップしてくれる会社を見つけ出したい。


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