札幌科学技術専門学校高等課程(北海道)
3年

津久井  雅 子
 

「理想とする職業」
 
 もしも、近くに病院や診療所などの医療機関がなかったら、世の中はとても不安なものになると思います。ちょっとした風邪を診てもらうだけならまだしも、心臓や脳など一刻を争う急病や交通事故などによる大怪我は「いつ」「どこで」起きるか分からないからです。東日本大震災では、自分達も被災者なのに、それよりもまず患者さんのために一心不乱に働く医療関係者をテレビで見ました。

 医療機関は私たちが生きていくために絶対になくてはならないものですし、医者や看護師にはなれなくても、なんらかの資格や技術を身につけて私も関わっていきたいと強く思うようになりました。

 今、私は高等専修学校の3年生です。次の進路を選択しなければならない時期に来ています。級友の多くが専門課程への進学に希望を膨らませる中、私は医療系の専門学校のパンフレットを読み漁っていました。調べていくうちに一言に医療関係といっても、リハビリの仕事やカウンセリングの仕事、介護士の仕事、はたまた医療事務など仕事の種類がとても多岐に及んでいて、一つの病院というのは、多くの専門職の人たちの集まりで成り立っているということが分かり始めました。

 何をすればいいのか迷っているうち、「診療情報管理士」という資格を見つけました。この資格を持っている人が従事する主な仕事内容は病歴や検査内容、治療内容など、患者さん一人一人の情報を完全に管理することです。病院内の多くの部署と関連しており、経験を積むと病院のあらゆる情報を管理できるようになるということも知り、とても興味を持ちました。

 さて、実はもともと私は経営分野に興味を持っていました。会社経営は全く未知の世界であり、その仕組みがどうなっているのか以前から気になっていました。会社や学校も、経営が傾けば倒産や廃校などになりかねません。経営者にはならなくても、経営感覚を身につけておくことは重要だと思っています。

 この「診療情報管理士」は、病院の重要な情報を管理していく点で、経営分野にも通じるものがあることを知りました。コスト・原価計算などがそうです。もしそうなら、両方の興味を同時に満たすことができる職業だと思い、この資格が学べる専門学校へ進学しようと決意を固めました。

 誰でも年を取ると耳が遠くなったり歩行が難しくなったり、医療機関を利用することが多くなってくると思います。私の祖父も数年前に腎臓の手術をし、入院しました。沢山の医療関係の人にお世話になりました。その後も透析で週に3回通院しています。先日の東日本大震災でも透析をどうするかという問題がありました。対策の一つとして被災地から安全な地域に避難して透析を受けるという案も聞きました。大変な状況の中、寝る間も惜しんで働く医療従事者には、自分の祖父の姿も重なって心が打たれます。

 全国的に見てもこれからどんどん高齢者は増え、医療機関がますます重要になっていくと思われます。祖父が病気になって分かったのですが、医療従事者ほど休む暇がない職業はないと思いました。年末年始に関係なく、急な患者さんのために手術や治療する姿はとても素晴らしいものだと思います。

 医療機関で働く人の数はまだまだ足りず、今後もっと増えなければならないと思います。「診療情報管理士」の職務は、医者と対等な立場で自分の仕事をし、時には医者に助言も行い、複雑多岐にわたる医療活動を支える縁の下の力持ちだと私は思います。直接表に出ることはないでしょうが、将来は患者さんが安心して治療や個人情報を任せられるような立派な診療情報管理士になりたいと思います。


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