今泉女子専門学校高等課程(福島県) 3年

本 田  結 衣
 

きもの日本一に!
 
 「普通科の高校を卒業してからでもいいのでは」。そう先生や親から反対された。しかし、それを押し切って、私は専門学校の高等課程に入学することを決めた。

 私ときものとの出会いは、中学2年生の時である。叔父の結婚式でのことが、後の生活を大きく変えることになった。薄くたたまれていたきものが、瞬く間に、身体に沿って立体的に着付けられ、その美しさにうっとりと見とれていた。それからというもの、私はきものについて、専門的に勉強したいと本気で考えるようになった。

 高等課程に入学して、針の持ち方や姿勢など一から習い、授業は先生も生徒も真剣そのもの。時には何度もやり直したりして、思い通りにいかないこともあるが、毎日がとても楽しく充実していて、どんどん進みたくなる。だから今まで一度も後悔したことはないし、自分で選んだ道に進んで本当に良かったと思っている。

 毎年学校行事として、実技競技大会が行われている。昨年、運針の部で最高のプラチナ賞に選ばれ、毎日の努力が実ったと素直に喜んだ。入学してから夢中で勉強してきたが、1年生の時の作品と比べると、はっきりと差が出ていて、少しずつ技術力が身についてきたことも実感でき、中学の先生や両親も今では私の応援隊となり、時々期待の言葉もかけられる。しかし今、自分で分からないことがある。それは、私がこれからどれだけ伸びるのか、伸びると思うこと自体、自信過剰ではないのか。しかし、こういうことを考えても進歩はない。もっと自信をつけることを考え行動し、それを仕事として生きようと決意した。

 高等課程を卒業したら、専門課程プロフェッショナル科きものコースに進学する。そこで、今まで先輩達が挑戦し、素晴らしい実績を残している技能五輪全国大会に出場したい。そのために、まず出場資格として必要な国家資格技能士を取得し、技をしっかりと磨いて、技能五輪で優勝したい。

 きものについて学んでいると、とても奥が深いことがだんだん分かってきた。それだけに勉強意欲も高まるし、いい加減では妥協できず、究めたくなるから頑張れるのだろう。

 きものは、「仕立ての良さが第一」と思うが、それだけでは満足できない。その人に合った着付けや、小物・帯との組み合わせ、そして立居振る舞い…など、それぞれがぴったり合うと、きもの姿の美しさがにじみ出るように感じる。

 このごろ、きもの姿の人を見かけると、つい上から下まで見たり、呉服屋さんのウィンドウの前で立ち止まったりしてしまう。きものについて何でも知りたい、できるようになりたいと、私の中できものの占める割合が大きくなっている。また、これからもきものについてじっくり勉強できることは、とても恵まれているし、幸せに思う。

 きものは、日本の伝統文化の一つであり、それを守り伝えていくのは私達だという使命感も芽生えてきた。

 古代からきものがどのように変わりながら今の形に定着したかを研究し、これからはどうあるべきかを提案できるようにしたい。そして、多くの人が気軽に着物を着て、豊かな心になって、きものの良さを体で感じてもらいたい。そういう活動をするためにもきものについて一生懸命勉強し、「日本一になる」、それが私の夢だ。


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