三重県立宇治山田高等学校 3年

濱 口  絵梨奈
 

好きなことを仕事にするということ
 
 自分が好きなことを仕事にできたらどんなにいいだろう。将来について考えるとき、私はいつもこう思う。好きな仕事に就き、夢をかなえ、さらに十分な収入を得る。それはきっと誰もが望むことであろう。しかし、こうも思う。好きなことが自分の得意なことであるとは限らないのではないか、と。仕事を選ぶとき、単純に好きという気持ちだけでは通用しない。自分の思い描いたイメージ通りにいかない場合もあるだろう。「好きな仕事で夢をかなえる」、実際それはすごく難しいことだ。

 栄養士という職業に興味を持ったのは小学生の頃だ。小さい頃から料理が好きで、将来は調理関係の仕事に就けたらと漠然と考えていた。そんな時、学校の授業で、「食品添加物」について学んだ事がきっかけで、私は調理だけでなく、食物の栄養の面にも関心を持つようになった。授業は、おやつに含まれる食品添加物を調べる、という内容で、栄養士の方が簡単なデモ実験を行いながら、食品の安全性について考える、というものだった。普段口にしている食品の添加物の含有量の多さに衝撃をうけたことを覚えている。加えて、「あなたたちの体はあなたたちが食べたものでつくられている。」という栄養士の方の言葉が印象的だった。それから私は、「食」という分野をもっと学びたいと思うようになった。そして今、私は栄養士になりたいという夢がある。

 栄養士は、学校や病院を中心とする施設などで栄養指導を行ったり、献立を作成し調理をしたりすることが主な仕事で、多くの女性が活躍する分野の1つだ。仕事だけでなく、実生活でも生かせるその知識技術に魅力を感じる。また、人々のライフワークを支えるという意味でもたいへんやりがいがありそうだ。

 日々多様なメディアを通して、現代人の食生活の課題や食品の安全性が問題視される今、「食」を見直すことはとても大切であると感じる。  私は食べることが好きだ。色鮮やかに盛りつけられた料理、季節の食材を使った料理、地元の伝統的な料理などバラエティに富んだ食事は五感を潤してくれる。毎日家族で囲む食卓や、友達と食べるお弁当の時間は私にとっての楽しみだ。私は、食事はたんに生理的役割だけでなく、社会的役割も果たしていると思う。現代の日本の食生活指針としても、栄養的な項目に先立ち、「食事を楽しみましょう」という項目がかかげられている。今や食事は生きていく上で欠かせないだけでなく、人間関係を円滑にし、人を幸せにするものでさえあるといっても良いのではないか。

 人の幸せは健康によって左右されることも多い。その健康管理にはやはり食生活が大きく関係するだろう。それゆえ私はまず、自分自身がもっと食と栄養について知ることから始めたい。そして、将来は栄養士になって、食事の大切さや楽しさを伝えることを目指したいと思う。自分の好きな「食」を「職」にすることが私の夢だ。

 好きなことを仕事にするのはやはり簡単ではないだろう。好きなことは趣味にしておいた方が良い、仕事にするのは良くない、という考え方もある。しかし、それでも私は好きなことを仕事にしたい。自分の好きなことをさらに深く追求したいと思っている。好きだからこそ感じられる働く喜びがあり、仕事に情熱を持てるだろう。忘れてはいけないのは栄養士になることがゴールではないということだ。

 好きなことを仕事にすることは素敵なことだ。だがそれ以上に大切なことは、仕事をしている自分を好きになることではないか。どんな職業を選択するにせよ、私は自分がなりたい自分でありたい。

 未来の目標のため、私は今やるべきことをやらなければいけない。それが夢の実現への一歩になると信じて、頑張っていきたい。


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