今泉女子専門学校高等課程 2年

江 島  未 紘
 

自分のやりたいこと
 
 それは、5月の晴れた朝の事だった。

 「ファッション甲子園デザインコンテストで江島さんの作品が最終審査に残りました。」と先生から伝えられた。私は驚きと喜びが一緒になり、大きな声で「ヤッター。」と叫んで身体中が熱くなっていった。さらに先生は、「全国から3283点の応募があり、その中から35点が選ばれ、8月に青森県で、デザイン画に基づいて製作した作品をステージで紹介するので、みんなで協力して頑張って作りましょう。これから楽しいですよ。」とニコニコと話した。今までに経験した事がないので不安があったが、先生は8年前にも出場経験があり、その時のビデオをクラスみんなで観て、先輩が楽しそうにステージに立っている姿から、イメージがつかめ、「どんな素材で作るか?」「効果的な演出はどうするか?」など色々考えていくと、嬉しくて、嬉しくて舞い上がっていた。

 私は小さい時から、母の手作りのお菓子が好きで、特に彩りのきれいなフルーツケーキが大好きだった。今度のファッション甲子園に応募するデザイン画も真っ先に思いついたのが、フルーツをたくさん散りばめたデザインだった。テーマは「フルーツ」。この作品にはもう一つの思いがある。4年前の東日本大震災で福島のくだものが風評被害で敬遠されて、当時とても辛く、悲しかったことを思い出し、「福島のフルーツ」を全国にアピールしたかった事もきっかけとなった。

 私が服飾専門学校の高等課程に入学した時は、ただ漠然と「ファッションデザイナーの道もいいかなぁ」というくらいだったが、実際に服作りをすると、学ぶ事が多く、一つ一つが驚きで楽しかった。まずは、テーマにそって、デザイン画を思い描く。私はこの時間が1番好きで、今は毎日1枚を目標にして描いている。時には、美術館へ出かけたり、社会の先生達が活動している農業体験をさせてもらったりと、ファッションのことだけではなく、自然の中にも色々なヒントがあるので、視野を広げ、私らしい感性・発想力を磨いている。

 先日、テレビ番組でパリコレに12回出場しているファッションデザイナーについて紹介していた。

 自分が納得いくまで、幾度も繰り返し、その成果を出す姿に感動し、釘付けになって観ていた。表面的には華やかな仕事ほど、惜しまない陰の努力が実を結ぶことを改めて教えられたのである。

 私が在学している学校は、創立95年の伝統ある学校で、入学式に校長先生より創立者の話を聞いた事が印象的だった。その当時誰も口にする事がなかった「女性の自立」を掲げ、代々その精神が受け継がれてきているので、皆さんも将来の自分像を描きながら、それぞれしっかり学んで下さいと話した。

 今はまだ基礎的な事を中心に学んでいるが、これから専門的に学べるので、少しずつ将来が見えてきた。私も卒業後は、さらに上級コースの職業実践専門課程に進学し、一生の仕事としてプロを目指し、私の理想とするファッションデザイナーになりたいと、今回の入賞をきっかけに強く思うようになってきた。

 毎日の生活に欠かせない大切な衣食住の1つの「衣」の世界で、人を喜ばせることのできる職業は素敵であり、自分の城とも言える場を作り、そこを「幸せの泉」にしたい。様々な人に次々と泉の如くデザインを提案できたら最高である。

 この夢の実現のため、思う存分勉強出来る幸せに感謝し、「まっしぐら」に進んでいきたい。


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