福島県立郡山商業高等学校 3年

鈴 木  沙也加
 

公認会計士で地域活性化
 
 私の夢は公認会計士になることです。

 きっかけは4年前の3月11日、東日本大震災でした。私は自宅にいて珠算塾に通う矢先に大きな揺れに襲われました。福島県は地震・津波に加えて福島第一原子力発電所事故による放射能汚染の被害を受けました。その後、風評被害が福島県全域を襲い、農工商業等の一部が停滞しました。普通の生活が困難になり、激変していく街の様子を黙って見る事しかできなかった私は、将来、仕事を通して福島を活性化させたいと思いました。

 公認会計士の仕事は企業の経営が上手くいくようにサポートすることです。企業が経営成績を表すための財務諸表が適切か否かを、第三者の立場から助言・指導することが主な仕事です。これにより企業は信頼性の高い情報を発信することができ、安心して様々な取引を行うことができます。

 私がこの職業に就きたいと思った理由は3つあります。1つ目は商業高校で学んでいる簿記や会計、経済の知識を活かしたいからです。特に簿記においては検定に挑戦する中で基礎知識を活用し、正確にまた複雑な問題を解くことができた時、達成感に満たされます。卒業後は大学で総合的・多角的に商業を学び将来は公認会計士として社会で貢献したいと考えるようになりました。

 2つ目は、公認会計士の助言や指導で企業のイメージが良くなり、安全性の高い取引ができるようになるからです。この指導・助言で企業が向上するところに魅力を感じました。私は今、学校の部活動で珠算部の部長を務めています。電卓競技の全国大会に出場し優勝を獲得した実績があります。時には私が助言・指導をする場面があり、部員の技術が向上した時、大変嬉しく喜びを感じます。さらに指導後、感謝された時は部長としてのやりがいも感じます。このように誰かの役に立つことに魅了された私は、より大きい規模で活躍したいと思うようになりました。

 3つめは東日本大震災後、低迷した福島の活性化を図りたいと思ったからです。福島は農林水産物や工業製品、商業、観光など様々な場面で被害を受けています。しかし着実に復興を遂げています。除染の進捗率は52・4%と5割を超え、また避難者が少しずつ帰還し人口流出にも歯止めがかかりました。また道路の整備も進み、沿岸部の復興を後押ししています。さらに農産物の放射能検査を実施し県産品の安全性を発信することで農業産出額もやや持ち直しています。特に6次産業化の商品開発では会津高田梅のジャム、下郷町のヨーグルトなどがあり、県では購入を促進しています。

 私が住む郡山市は農業・商業ともに盛んな都市です。特に農業では米や葱、養殖鯉などが数多く生産されています。また私は所属する学校でラスクの商品開発を行っており販売や流通等も学習しています。そこで地域の特産品を活用し、6次産業化の商品開発・販売で地元を盛り上げていくことが必要だと考えました。私は開発・販売等にも関わりながら公認会計士となって、企業を陰から支え盛り上げて、地域を活性化させながら地元創生に向けて貢献したいと思うようになりました。

 福島は未だ復興の道半ばです。特に風評被害の払拭は完全ではありません。そこで福島の企業と地域の橋渡しとなるように、公認会計士として、また取引の中で商品の安全性を発信しながら企業をサポートしていきたいと思います。さらに他県や海外へと範囲を広げ、良好な関係を築くことで福島県は少しずつ復興を成し遂げていくものと確信しています。生まれ育った福島に今度は私が恩返しをする番です。福島再生のために私は、産業の活性化を図り、地域創生の実現を目指して尽力していきます。


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