安城生活福祉高等専修学校 2年

杉 浦  幸 花
 

笑顔で寄り添って
 
 「何もできないけど、最後まで笑顔でいよう。」

 亡くなる1週間前に、伯父が母に語った言葉です。中学校3年生だった私は、この伯父の言葉で福祉の道をめざそうと心に決めました。身体の自由が利かなくなっても笑顔でいたいと願う人はたくさんいるでしょう。そのような人に、私は温かい気持ちをもって寄り添いたいと考えています。

 今、私は安城生活福祉高等専修学校の福祉科に進学し、福祉に関する専門的なことをいろいろ学んでいます。

 私の大好きな伯父は、父親代わりとしてずっと私をかわいがってきてくれました。一緒にゴルフのパターの練習をしたことも懐かしい想い出です。お酒が大好きで、煮物や焼き魚など和食が大好きな伯父は、いつも元気で体格もよく、大きな声で話す本当に素敵な人でした。そんな伯父でしたから病名を聞いたときは本当に驚きました。胃がんでした。初期症状が分かりにくく、早期の発見が難しいタイプのがんだったようです。伯父は、時が経つにつれ弱っていきました。それをただ見ているだけの自分がとても嫌でした。

 伯父が入院している時に、介護やコミュニケーションについていろいろ調べました。その中に「相手を不安にさせないために笑顔でいることが大切」という言葉を見つけました。この言葉を見つけた直後に、思いもよらないことでしたが、母から伯父の言葉を聞いたのです。介護する側の笑顔が大切であると同時に、介護される側も笑顔でいたいと願っているのだと思いました。伯父の死は、私にとってとても悲しい出来事でしたが、福祉について学ぼうとする第一歩になりました。伯父の死をきっかけにして、「生きるということはとても大変なことで、死はいつも身近にある」と、私は考えるようになりました。

 今、私は生きています。命は心臓が打つ鼓動の連続であり、起きている時だけでなく寝ている時でも続いています。この鼓動の連続は、親のおかげであり、亡くなった伯父をはじめとして多くの人たちに支えられてきたものです。人は1人では生きていけません。私は援助を求めている人のために、何かできることを探していきたいと思っています。感謝の気持ちをもって、相手の思いを大切にしながらがんばっていきたいです。

 そこで、私はボランティア活動に積極的に取り組むように心がけています。最近出かけた老人ホームでは、お年寄りと話をしたり、カラオケの盛り上げ役をしたりしました。一緒に過ごしていると、お年寄りがにっこりと素敵な笑顔を見せてくれます。おばあちゃん子である私は、そんな時、とてもうれしくなります。お年寄りと一緒に、私も笑顔になります。そんな私ですが、人見知りのところがありますし、恥ずかしがり屋です。ですから、すぐに人と溶け込むことは苦手です。でも一緒に楽しもうと笑顔で寄り添うなかで、少しずつ心の距離が近づいていくことが分かりました。無理に考えなくても、自然にお付き合いしていれば、うれしそうな笑顔が見られることに気づきました。

 私は小さい頃から絵を描くことが好きです。切り絵やデッサン、イラストなど何でも好きです。これまで学校で、クラス旗や応援旗などを担当してきました。そこで、絵を描くことで、介護や福祉の道に利用できることはないかなと考えています。何をどうしたらよいのかはまだ分かりませんが、機会があれば、次回のボランティアの時にデッサンの用意を持って行こうと思います。

 今、私は手話やベッドメイキングの勉強に力を入れています。先生方からていねいに教えていただきながら、「いつも笑顔でいたい」と話していた伯父のことを想い浮かべます。私は笑顔で寄り添いながら、たくさんの笑顔に接していきたいと思います。


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