横浜デザイン学院高等課程 2年

鈴 木  栞 音
 

自分に負けない
 
 私は、将来何の仕事に就きたいか、と問われると、迷わず“ファッションモデル”と答える。

 小学1年生の時、知り合いの紹介で、ファッションショーに出演した。当時は、何も分からず、緊張もしなかった。でも小さいながらも確かに分かったことがあった。それは、ランウェイをした時の心が躍るような、何とも言えない、あの素晴らしい感覚。大きな音楽とスポットライト。私は一瞬で虜になった。それから、モデルという仕事に大きな興味を持ち始めた。

 中学生になると、自分で何をしたらいいかを考え始めるようになった。一から調べ、知識は増えていったが、技術はなかった。何度も受けたオーディションも、全くといっていいほど、手応えなどない。

 そんな中、今までで一番大きなチャンスが巡ってきた。一番目標としていた舞台の二次審査にいった。私は、人生で初めてといっていいほど、本気になった。しかし、そう簡単にいくわけもなかった。初めて悔し泣きをした。次の年も、同じところまでしか行けず、終わってしまった。そして、何もやる気など無くなっていくのが分かった。自分が惨めで仕方がなかった。親とも衝突することが増えた。

 一番悔しかったのは、自分の中に迷いができていたことだ。周りの子は、毎日あんなに自由で楽しそうなのに、「何で自分は違うのだろう」という気持ちがあった。それは、私自身の態度や体形にも出始めた。

 高校2年生になり、進路の話も出てきた。今までよりも、自分の将来について真剣に考えなくてはならない。迷っている暇は無いのだ、と痛感した。

 私が就きたい仕事は、絶対になれるという保証は何もない。だから、「現実を見なさい」と思う人もいるかもしれない。それでも私は、将来モデルという仕事をしていきたいと決めたからには、やるしかないと思っている。他の道なんて考えられないくらい、本気でそう思っている。

 そのため、今までもそうだが、たくさんの人たちの支えがあり、これからも助けられると思う。その人たちに恩返しするためにも、絶対に叶えたい。今の私は、何よりも自分に負けてしまっている。だから今のままではいけないことは、痛いほど分かる。私は変わりたい。またもう一度、一から頑張ろうと決めた。

 たくさん悩んだり、嫌になったり、逃げたくなる時はあっても、努力したり、準備したりする時間はとても楽しくて、苦しかったことなど忘れてしまう。そして、たまにファッションショーに出て、成果を出せるような時に、やはりこの道が大好きだと改めて気付く。

 そして何より、同じ目標を持っている人たちと切磋琢磨し合えることも魅力である。今はSNSなども普及しているので、地方の人たちとも知り合って、イベントなどで会って交流することも出来る。そのたびに、たくさんの刺激を受けると、また頑張ろうと思う。一見普通に見えても、とてもすごいことだと思う。

 結果、辛いことよりも楽しいことの方が多いと感じる。こんなに大きな目標を持てることに感謝しながら、もっと、もっと努力していきたい。


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