国際パティシエ調理師専門学校高等課程 1年

加 藤  真 那
 

夢を実現させるために
 
 「好きな仕事で夢をかなえる」、それはきっと誰もが一度は夢みることであろう。しかし社会に出たら、単純に好きという気持ちだけでは通用しない。「仕事」というのは簡単に決められるものではないのである。そんなことも含めて私がパティシエを目指すきっかけとなったのが、「夢色パティシエール」というアニメである。

 アニメなんかがきっかけ?と笑われるかもしれないが、「夢色パティシエール」はパティシエを目指す14歳の少女がスイーツ作りを通して成長していくストーリーで、パティシエ、青木定治さんが監修している本格的なアニメである。私はこのアニメからパティシエという仕事の難しさや大変さ、楽しさ、やりがいなど多くのことを学んだ。

 主人公天野いちごは、決して特別な才能があった訳ではないが、結果的に世界ケーキグランプリで優勝を果たし、さらには自分の店も出している。それを実現することができたのは、毎日毎日練習を重ねた“努力”の結果であると言える。食べた人を幸せにするスイーツを作る。食べる人も自分も楽しくなる、笑顔になるスイーツを作るということを目標にして試行錯誤し、ときに行き詰まったり、目標を忘れかけてしまうことがあっても、その度に仲間と助け合い、自分を見つめ直す。困難を乗り越えていくいちごを、私は心から尊敬する。

 “努力”というのは、言葉では言い表すことができない、決まった形のないものである。“努力”と一言で言っても熱意によって内容も程度も違ってくる。並大抵の努力では夢は実現できない。いちごには誰にも負けないスイーツ作りへの情熱があったのだ。高い目標を持っているが自分を見失い、何のためにスイーツを作っているのかがわからなくなるという壁にぶつかるときが来る。人を笑顔にしたい。楽しくなるスイーツを作りたい。その目標を持ち続けることはそう簡単なことではないのだ。そんなとき、仲間というのは自分にとってとても大切な存在となる。パティシエという仕事は、個人プレイであると同時に、チームプレイであるのだということも学んだ。

 スイーツ作りはとても楽しく、面白く、奥が深い。ただ決まった材料を混ぜればいいという訳ではなく、その材料一つでも質や産地などが違うだけで味も風味も変わってくるし、配合を変えると、味だけでなく食感なども大きく変わる。また、混ぜ方等工程の一つひとつも仕上がりに大きな影響を与える。学校の実習でビスキュイキュイエールを作ったとき、材料も工程もシンプルで簡単そうに思っていたが実際はそうではなく、メレンゲのたて方、生地の混ぜ方、絞り方等一つひとつの工程が仕上がりを左右するのだということを知った。

 しかし失敗は私の中の向上心をかきたて、こうしたらどうなるだろう。次はこうしてみよう。と、納得のいくまで作りたいという気持ちにさせた。同じスイーツでも、生地やクリーム等の組み合わせを変えれば全く新しいものになり、それを繰り返し自分のオリジナルを作りあげるのはとても魅力的なことである。理想のものが完成したときの喜びは図り知れないものである。

 私の夢は、自分にしか作れないスイーツで食べる人も自分も笑顔に、幸せにすることだ。そのために学校での日々の勉強に実習、アルバイト、就職先での修業、全てにおいて真剣に取り組む。日々努力することを忘れず、仲間と協力し合い、「好き」という気持ちをバネに自分を高めていこうと思う。思うようにいかないこともあるだろう。しかしどんな困難が待ち受けていようと私の夢への道はまだ始まったばかり。だからこそ私は自分を信じ、努力をおしまず成長していく。そうすれば、たとえくじけそうになっても必ず乗り越えていける。それが夢への一歩につながるということを信じて。


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