栃木県立宇都宮白楊高等学校 2年

小 森  宥 芽
 

私の目指す酪農経営
 
 「家畜について学びたい」そんな思いで私は農業を学べる専門高校に進学をしました。1年生の冬休みに、先生から声をかけていただき、私は先輩たちと「和牛甲子園」に出場をしました。私の担当は、牛の良いところを審査委員の人たちにアピールをするスピーチでした。学校の牛は、たくさんの生徒と関わるため、たくさんの愛情を注がれて出荷されていきます。そんな牛の良さを多くの人に知ってもらうためには、どう表現をすれば良いか悩みました。

 残念ながら、優勝することはできませんでしたが、この経験は自分の夢の実現のための転機になりました。私はこの大会で多くの刺激を受けました。それは、牛のことを良くわかっていないことです。そのため、もっと勉強をしなければならないことに気づいたことです。白楊高の飼育の実習しか知らなかった私は、飼育の方法やエサの種類など、牛の飼育方法が各校の創意工夫で様々にあること、他校の優秀な牛と比較することで、自分たちの牛の欠点や問題点を見いだすことがわかったのです。

 学校に戻った次の日、先生から、「大会に出た牛を学校の近くのスーパーで販売しよう。」と言われました。私は迷わず参加しますと答えました。買い物に来たお客さんに試食を勧めたところ、「おいしいね。」と声をかけられ、とても嬉しい気持ちになりました。先生や先輩たちと愛情をこめて育てた牛が褒められ、私は牛と共に生きる仕事にやりがいを感じました。

 私の家は那須烏山市で乳牛50頭、水稲2・5ha、他に飼料畑9haを営む専業農家です。昨年、父は60頭のつなぎ牛舎を新築しました。新しい牛舎は一頭ごとに個体の健康管理ができ、快適に牛を飼育できます。

 私は将来、酪農家になるという夢があります。私は消費者に「おいしい」と喜んで飲んでもらえる牛乳を生産したいと思います。そのためには、まず、消費者に信用してもらえる安全な牛乳でなければなりません。

 グローバル化に伴い、農産物の輸出拡大やオリンピック・パラリンピックヘ食材提供などから今、日本ではGAP認証が注目されています。GAPとは栽培行程を記録、点検、履歴を評価して経営を改善することです。

 私たちの高校では、トマトで1年間をかけて、JGAPの認証を取りました。私は、JGAP取得のため、一員として取り組みました。JGAPには手間や時間がかかることを学びました。GAPというものがとても重要で「安心・安全」な食材だということもわかりました。我が家でもぜひ、畜産GAPを取得したいと思うようになりました。

 現在、日本では、野菜や果物のGAP認証に比べ、畜産GAPの認証は、あまり進んでいません。しかも日本全国の畜種別で、乳牛の認証農場は、たったの3ヶ所しかありません。そのせいか、父にGAPの話をしても「取得費用がかさむ」「認証効果がみられないだろう」と話を聞いてもらえません。確かに、父の意見もわかります。しかし、GAPの取得をした牛乳のほうが、消費者が安心て飲めるだけではなく、生産者も安心して出荷することもできるのです。さらに、GAPは生産者たちの作業事故の予防や防止にも繋がるのです。特に、大きな機械を扱う畜産こそ、自分たちの身の安全を守るうえでも大切なのです。

 取得をすることや維持をすることが難しい点から、今はあまり促進されていない畜産GAP。農家の意欲を高めるために、「GAP取得チャレンジシステム」を導入している県もあります。このような取り組みを詳しく知って、GAPを取得したいです。

 大動物を生産する。この仕事の嬉しさや達成感は、はかりしれないほど大きなやりがいがあると思います。私は、将来、酪農家になり、誰かに喜んでもらえるような牛乳を生産していきます。そのために私は挑戦していきます。


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