武蔵野東高等専修学校 3年

野 崎  高 志
 

ともに生きるために
 
 私の夢は、「健常者と障がい者が分け隔てなく暮らせる社会を作ること」である。私自身、高機能自閉症という障がいがあるが、他の障がいのある方のサポートをしてその夢を叶えようと思う。そう思ったきっかけは、私の在籍している学校にある「混合教育」という制度のおかげで心身ともに成長したと心から思えるからだ。

 混合教育とは、障がいのある生徒とそうでない生徒がともに学び合い、互いを理解してともに成長するものである。私は、一般的には前者に分類され、そしてその枠通りに成長してきた。だが、分類というものを越えた、精神としては後者である。そこで、障がいのある生徒としての生き方から、そうでない生徒の生き方になったきっかけを紹介しようと思う。

 それは、高等専修学校に入学して、小中学生の頃から環境が変わったことだ。小中学生の頃は支援学級に在籍していて、「障がいのある生徒」として扱われていた。それについてこの時は仕方ないと思っていた。だが、高等専修学校に入学して、真の「混合教育」つまり、障がいのある生徒の私が健常者と同じクラスになってから、私の思いが変わった。「健常者と同じように出来なければならない」と。

 だが、小中学生、さらには幼稚園児のころから支援学級にいた私にとって、それは至難の業だった。これまで健常者からサポートされる側であった私は、それに慣れてしまい、自分を変えることができずにいた。しかし、そんな私を変えるチャンスが到来した。それは、陸上部のキャプテンに就任したことだ。中学生の頃までサポートされる側にあった私は、初めはものすごく苦労した。だが、キャプテンとして部員をまとめていくうちに、小中学生の頃私をサポートしてくれた健常者の気持ちが分かった。それにより、小中学生までの自分から変われたという思いに包まれた。

 この経験が生き、自分に障がいがあってもよりサポートが必要な人に手を差し伸べられるようになった。これは、自分がサポートされる側にあったからこそ分かったことだろう。人は誰しも、誰かのサポートなしに生きていくことは出来ない。それを知っている人こそが、本当に困っている人を助けられると思う。

 ところで、私は、障がいのある人のサポートをする仕事に就こうと思う。「サポートされる側」にいた私だからこそ、人の辛さはよく分かっているつもりだ。だからこそ、サポートされる側にとどまり続けるのではなく、本当に助けを求めている人を一人でも多く救いたい。「健常者と障がい者が分け隔てなく暮らせる社会」を目指して。


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