安城生活福祉高等専修学校 3年

入 來 院  有 沙
 

やりがいのある仕事
 
 私に向いている仕事は何だろうかと、今まで深く考えたことがありませんでした。大人になれば仕事をするのは当然だと、甘く考えていました。しかし高校生になり、仕事を見つける大変さや、自分に向いた仕事を探すのは難しいという事に気づきました。

 生活のためにお金を稼ぐ、だから仕事をする。確かにそれも大切だと思います。しかし、私自身がやりがいのある仕事でなければ何の意味もありません。

 色々な職場で働いている自分を想像してみました。販売、接客、製造、どれも違うなと思う中、一つだけ私に向いていると思う仕事がありました。それは、福祉関係の仕事です。なぜそう思ったかというと、私は小中学生の頃、特別支援学級に通っていて支援される立場にいたからです。

 私は臆病で自分に自信が持てなくて人と接することが苦手でした。言葉を覚えたり、理解したりすることも、みんなより遅く、通常学級では勉強についていくことが大変になります。ですから、少し支援するだけで苦手だったりできないことも伸びる可能性があるという理由で、支援学級に通うことになりました。

 小学校に入学して、ひらがなを覚えるのも字を書けるようになるのも遅くて大変でした。しかし授業を苦だと思ったことはありませんでした。先生方は優しく丁寧に教えてくれて、むしろ授業が楽しいと思うくらいでした。

 私の臆病な部分も、先生方の励ましもあり、少しずつ自分に自信が持てるようになっていきました。

 支援学級では、高学年が低学年のお世話をしたり、困っている子がいたら助けてあげるということも、毎日の生活の中で自然と身に付いていきました。

 中学生になり、支援学級も小学校より人数も多くなりました。その分、たくさんの人とふれ合うことができました。障がいのある子も通っていました。小学生の頃は、まだ幼くて支援学級にはどんな子が通っているのか考えたことがありませんでした。しかし、その子達とふれ合ううちに、何が苦手なのか私なりに理解できるようになってきました。

 先生方は、一人ひとりに合った授業や支援をしていました。例えば、集団行動が苦手な子には、少し離れた場所で待機させたり、コミュニケーションが苦手な子には、アドバイスをしたり、パニックになってしまう子には、その子が落ち着ける空間を作ってあげたりと工夫をして支援をしていました。私はそんな場面を何度も見てきました。

 支援学級では一般教科の授業もありましたが、生徒達が将来自立できるための授業もありました。服をたたんだり、掃除の仕方を学んだりし、校外学習では実際に、自分達だけで電車に乗って出かけたり、お金を払って商品を購入したりと様々な経験をする授業もありました。

 普通なら簡単にできるようなことでも、支援学級の子達には難しいこともたくさんあります。

 そして、私の兄も支援学級の生徒でした。兄は自閉症という障がいをもっています。急にパニックになることがあります。しかしそれは何か理由があるからです。でもそれを理解できる人はなかなかいません。兄はまだ身近自立ができていません。これからもたくさんの方に支援されながら生活していくことになります。ですから私も、支援学級で学んだ経験を活かして福祉関係の仕事をし、何か人の役に立てることをしたいと思うようになりました。

 障がいのある子が支援されることで、できる喜び、そして笑顔にしてあげることが私のやりがいのある仕事だと思います。 

 そして、支援学級はこんな子達のためにするんだよ、こんな授業をしているんだよ、と自分の経験をたくさんの人に知ってもらいたいと思っています。


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