済美高等学校 3年

二 神    優
 

コロナ禍を経験して思うこと
 
 2020年から世界中を侵し続けている未知のウイルス、新型コロナウイルスは未だ収束の兆しはない。このウイルスによって私たちの生活は大きく変わっていった。国民は外出自粛、会社はテレワーク、かつて多くの国民が開催を待ち望んでいた東京五輪は一部無観客での開催など、コロナウイルスが流行る前と比べると別世界のようである。多くの人々が感染防止のためにあの手この手で尽力している中、私は最近のコロナ関連のニュースやメディアを見ていて思うことがある。それは、「人間対ウイルスの戦い」ではなく、「人間同士の戦い」になっていることだ。たとえば、自分の住む地域で県外ナンバーの車を見かけると、相手の事情を顧みず悪だときめつけ、さらにはその車に対して煽り運転をする事件が発生したり、感染者を誹謗中傷するような張り紙を掲示したり、東京五輪は開催の賛成派と反対派、政府と国民の間で意見が対立したり、そういった事件は数え切れないほど起きている。

 そもそも私たちは何のために感染対策をしているのだろうか。原点に戻れば答えは簡単に出てくる。自分自身や家族を守るため、学校などの学ぶ場所や機会を絶やさないためだ。対象の事物は異なっていても、全てに共通していることは、大切なものを守るということだ。

 本来みんなが協力して守ることに徹しなければならないのに、それとは真逆の行為を引き起こしてしまうのは由々しき問題だ。この事態を食い止めるには、改めて感染リスクに関して正しい情報を共有したり、みんな同じ状況下で頑張っているという認識を強めたりすることが重要だ。感染リスクを考えずに利己的な考えに基づいた行動をしている人を見ると憤りを感じることもあるが、一旦気持ちを落ち着かせて、今できる対策を徹底していけば、自分の意識の向上と共に、周りの意識も高まるきっかけになるだろう。

 世はウイズコロナ時代に突入し、多くの新常識が確立しつつある。代表的なのは、季節を問わずマスクを着用することや、冒頭でも述べた会社でのテレワークの実施もその一つだ。今までコロナ関連というとマイナスなことしか生み出さないと思っていたが、メリットも多く誕生した。テレワークを例に挙げると、会社に行く機会が減ったことにより、通勤・勤務時における感染リスクの抑制につながったり、家族団らんの時間も増えた場合もあるだろう。緊急事態にさらされたことで、今までの常識が覆り、結果的に今まで凝り固まった規則や習慣、働き方では通用しなくなり、より自由な働き方が選択できるようになった。これらのメリットはアフターコロナの時代でも継続し、より多くの人が私生活と仕事の両方を充実させることが重要だ。

 依然として収束の見込みがないコロナウイルスとの共存はまだ続くが、改めて一人からできる感染対策を徹底的に行い、周りと協力しつつこのコロナ禍を乗り切らなければならない。ウイズコロナで生まれた課題やメリットをアフターコロナでも生かし、誰もが一度しかない人生を全うできるように尽力することも大切である。私自身も、今できる感染対策を十分に講じ、アフターコロナの時代に、そんな大変な時代もあったと振り返り、知らない世代に経験したことを伝えていきたい。


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