京都市立日吉ケ丘高等学校 3年

駒 井  百 夏
 

社会に役立つデザイン
 
 私は将来、社会に役立つデザインを創造したいと考えている。なぜなら、私たちの日常を豊かにし、機能的な生活を送れるようにするのはデザインであるからだ。

 私は、アートとデザインは異なると考える。アートは「自己表現」であり、デザインは「問題解決」だ。例えば、街中でよく目にする視覚障がい者誘導用ブロック、通称点字ブロックは、視覚障がいのある人の歩行をサポートする役割があり、これもデザインの一つだ。

 しかし、私は以前、黒い曲線の点字ブロックを見かけたことがある。点字ブロックは本来、視覚障がい者にとって最も認識しやすい色である黄と、方向感覚を惑わせない直線であることが薦められている。黒く曲線を描いた点字ブロックは、芸術的発想としては新しいものだが、利用者の利便性という点ではデザインとして機能していないのである。

 利用者に寄り添い、ニーズに応える実用的なデザインを生み出すためには現場を体感することが重要だと私は考える。利用者はどのような場面でストレスを感じるか、高齢者や妊婦、障がいのある人はどのようなときに不安を感じるか、自分の満足するアートではなく、他者を想定したデザインになっているかなど、客観的かつ論理的に問題を解決するには現場を重視する必要がある。

 そこで、近年では、ユニバーサルデザインが注目されている。国籍や言語、文化や年齢を問わず、誰もが不自由なく利用できることを目標としたユニバーサルデザインは、デザインとしてあるべき姿だと思う。非常口を示す緑の通路誘導灯や、東京オリンピックの開会式で行われたパフォーマンスで話題になったピトグラムもユニバーサルデザインだ。これは誰が見ても理解できるという特徴を持つため、地図や案内板など様々な場面で使われている。

 このように、社会に役立つデザインを創るためには、課題をくみ取る力、グローバル化に適応する力、そしてデザインを実現する技術的な力が必要となる。

 これらの力を培うため、私は美術大学でデザインを学びたいと考えている。具体的には、構図や配色などデザインを基礎から学び、デザイン会社や事務所に就職する際にアドバンテージとなるPhotoshopクリエイター能力認定試験や、文部科学省後援色彩検定を受けたいと考えている。

 また、大学卒業後は大学で得たデザイン技術を活用して地域の町おこしに貢献したい。私の祖母は青森県に住んでいるが、青森では現在過疎化が進んでいる。対策をして青森の豊富な水産物や自然、伝統行事などを雑誌やウェブサイトを通して世界に広めたり、すべての人が安心して旅行を楽しめるよう多様な言語やロゴマークを使用したパンフレットを作成したりするなど、移住者や観光客を増やす取り組みを行いたいと考える。

 目標実現に向けて、現在は勉強に励んでいる。特に総合的な学習の授業では、社会の課題を取り上げ調べたり、自分たちにできることを提案したりするなど、視野を広げ持続可能な解決策をプレゼンテーションする力を伸ばしている。また、学校行事にも積極的に取り組み、文化祭のポスターや修学旅行のしおりの表紙を担当するなど、独学ではあるが、デザインの実技能力を磨いている。

 人々の日常や生活を便利にし、社会の役に立つデザインを創るため、デザイナーという仕事に向けてこれからも努力していきたい。


[閉じる]