湘南白百合学園高等学校 2年

梅 澤  莉 菜
 

テレワークがもたらした新たな時代
 
 新型コロナウイルスは世界を変えた。そしてテレワークも私達の生活を大きく変えた。朝出勤し、会社で仕事をし、また自宅へ帰ってくるというのが数年前までは当たり前の日常だった。しかし今、コロナ禍を経てその当たり前が更新されつつある。

 2年前のある日を境に、学生の私はリモート授業を受け、サラリーマンの父もリモートワークに切り替えた。初めのうちは、遠隔で社員とやり取りしながら仕事をこなす不慣れな状態に大変そうな様子だった。父曰く、表情などがよく見えないためコミュニケーションをとるのが大変だったそうだ。そんな父も徐々に慣れて、休憩時間に散歩に出かけたり、朝ゆったりと過ごしたり、会議中に軽く冗談を言ったりと、仕事も順調そうで充実しているようだった。

 コロナ禍になり本格的に在宅勤務が始まったばかりの頃は、父のように手探りの状態だという人が多く、「意思疎通が上手く出来ない」「仕事の生産性が悪い」などの声が世間から多く出ていたリモートワークだが、いざコロナが収束し、時差出勤や今まで通りの出勤が許可されるようになった時、世間から聞こえてきた声は「このままリモートワークを続けたい」という類のものだった。この短期間にリモートワークが普及し、人々がリモートワークを好むようになった理由は何なのだろうか?

 一番は時間の使い方が大きな理由だと思う。今までは出勤、帰宅に時間を取られていた。首都圏外から東京まで来ている人は特に新幹線や飛行機で往復数時間掛かってしまう。その分リモートワークになると自宅で仕事が出来るため、移動時間が0になるのだ。本来移動時間だった分を自分がしたいことに回すことができる。また時間以外にも、自宅以外にもネット環境が整っていれば屋外や店内などでも作業ができる。時間も環境も自分の自由で仕事が出来るのがリモートワークの魅力でもあるだろう。

 そしてリモートワークによって新たな可能性が広がったのも理由の一つだろう。その場にいなければ会議に参加出来なかったものが、遠隔でも繋がることが出来るようになったため、個々の場所にいたとしてもリモートでの会議が出来る。またそれは会社内の狭いコミュニティ内だけの話では無く、国境を越えて世界中の人々ともリアルタイムで繋がることが可能になった。リモートワークはいつでもどこでも人と人を繋げ、仕事の幅を広げ、効率化を図る。コロナの無い、数年前までは想像もつかなかったことがコロナを介して世界で起きている。

 取り巻く環境や日常生活そして働く形も大きく変化したこの数年、私たちの世代が社会で働く時にもより社会環境や働き方が変わっているかもしれない。

 リモートワークを通して仕事のあり方を改めて考えさせられた。会社で社員が集まる従来の方式だけでなく、会社から離れた場所からでも仕事が出来るという形が定着しつつある。また、リモートワークが普及したことから、一つの職業に絞る必要も無くなったのではないだろうか?在宅で複数の仕事がこなせるため、今まで以上に副業をする割合も増えてくるだろう。自分のやりたい仕事を思う存分出来るという点で個人のやりがいや生きがいに繋がってくる。そして、IT技術の革新もリモートワークから垣間見える。日本という枠を越えて世界をも繋ぐことが出来るようになったリモートワーク自体も画期的なものだ。今まで考えられなかったような働き方を私達に示してくれた。今後もITの発展はこれまでに無い職業を生み出したり、さらなる働く形の進化を私達にもたらしてくれるかもしれない。

 これから遠くない将来、仕事はどのように変わるだろうか?リモートワークは数年前から現在への働き方の革新の架け橋となってくれた第一歩目であるだろう。


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