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東日本大震災情報
一年で震災前の状態に戻す
復興から再生へ決意も新た

=東日本航空専を訪ねて=

 マグニチュード9.0の大地震により誘発された巨大津波で大きな被害を受けた宮城県岩沼市。沿岸から1.3キロメートルの東日本航空専門学校にも津波が押し寄せ、校舎群は壊滅的な被害を受けた。昨年の4月2日、同校を訪ねた時は、実習用の飛行機が隣接する運輸会社の倉庫まで流され、校舎や寮は瓦礫とヘドロで埋め尽くされていた。3・11から1年を経た同校を再び訪ねた。(東日本大震災特別取材班)

 平成23年3月11日、午後2時46分の巨大地震から約40分を経て岩沼市の沿岸付近にも7〜8メートルの津波が押し寄せ、181人の市民が犠牲になった。

 津波は同校の校舎群も呑み込み、幸い登校していた約100人の学生は体育館の2階に避難して無事だったが、校舎や実習場、学生寮は壊滅的な被害を受けたのだった。同校は、昨年の6月6日から仙台市にある姉妹校の東北電子専門学校で授業を再開。校舎や実習場、岩沼寮を取り壊して本格的な復旧工事が始まった。

 あれから1年を経て、「今日の現状は、ほぼ震災前の状態に戻りました」と開口一番、加藤秀明総務次長は語る。

 確かに校舎も実習場も建て替えられ、外に置かれている被害を受けた飛行機やヘリコプター以外、震災の爪痕は何処にも見当たらない。震災前の建物は、当日登校していた学生が避難した体育館だけで、岩沼寮も取り壊された。

 震災前の校舎は1階建てだったが、学生の生命を津波から護るため新校舎は2階建てとなった。津波は体育館の舞台まで上がっており、2階建ての校舎なら再び津波が押し寄せても十分に学生の安全が確保できるという判断があるからだ。

 しかし、校地内にあった学生寮は再建せず、仙台市内のホテルを買い上げて学生寮に充てている。「やはり保護者が心配しますので、寮は津波の心配のないところに確保しました」(加藤総務次長)という。

 校舎等のハード面は復旧したものの、一方で実習用の機材が十分に確保されていないという現実もある。塩水に浸かった飛行機は使えなくなり、新たに3機を購入。岡山航空株式会社から支援を受けたセスナ172Kの1機を加えてもまだ足りないという。寄贈されたセスナの機体には、会社近くの幼稚園児や小中学生の励ましのメッセージがたくさん書かれている。

 同校への支援は全国的に広がり、アイベックスからタービンエンジンの提供を受けたほか、中日本航空専門学校からもエンジン等が寄贈された。また同校の窮状を知った大阪の人が、日本工科専門学校(内藤康男校長=兵庫県姫路市)を通してクルマ1台を寄贈してくれた

 実習用機材のほかに、学校関係者には頭の痛い問題がもう一つある。それは私学経営の根幹となる学生募集で、4月から新入生の減少が見込まれることだ。「夏休みの大切な時期に、高校生対象の学校見学会や体験入学を開くことが出来ませんでした。東北電子で説明会を開きましたが、やはり入学希望者に不安が残ったのではないかと思います」と整備教務部の今別府和美部長はいう。

 いろいろな問題を抱えながらも、同校は4月から新しいスタートを切る。3月15日は震災後初の卒業生が社会に巣立っていく。昨年の津波で大きな被害を受けてから、卒業生や在校生がボランティアで瓦礫やヘドロの撤去作業に当たってくれた。

 「学生や卒業生からたくさんの元気をもらいました。また多くの関係者から物心両面でご支援を頂きました」と今別府部長は感謝の言葉を述べ、新年度へ向けて復興から再生への決意を新たにしていた。


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