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進路指導の課題と実践
(12/30) 6・専門学校をめぐる新しい動向

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(3) 「専門職業大学(仮称)」の創設

 中央教育審議会は2016年5月、実践的な職業教育に特化した新しい種類の大学をつくるよう馳浩文部科学大臣に答申しました。専門技能と教養の両方を育み、現場で中核を担う人材の養成を目的とし、文部科学省は2019年度の開学を目指しています。大学の種類が増えるのは1964年の短期大学の制度化以来、55年ぶりになります。

 答申「個人の能力の可能性を開花させ、全員参加による課題解決を実現するための教育の多様化と質保証の在り方について」の第1部「社会・経済の変化に伴う人材需要に即応した質の高い専門職業人養成のための新たな高等教育機関の制度化について」は、変化への対応が求められる中、基礎・教養や理論にも裏付けられた優れた技能等を強みに、事業の現場の中核を担い、現場レベルの改善・革新を牽引していくことのできる人材、専門的な業務を担うことのできる実践的な能力とともに、変化に対応し、自らの職業能力を継続的に高めていくための基礎(伸びしろ)を身につけた育成が課題となると指摘。幅広い教養を学ぶ大学や、技能に特化している専門学校とは別の高等教育機関が必要だとしています。

 新大学の名称は「専門職業大学」「専門職大学」などと例示。教員は、必要専任教員数の4割以上を、当該分野の実務経験が5年以上ある「実務家教員」にすることや、教育内容・方法は、卒業単位の3〜4割以上を実習科目にし、企業での実習(4年制なら600時間以上)も義務づけることを求めています。学位は、2〜3年制なら「短期大学士」、4年制なら「学士」の学位を卒業時に与えることが適当としています。

 この「専門職業大学」の創設という構想にまとまるまでには、文部科学省の教育政策は迷走が見られました。職業実践専門課程がスタートすると、14年7月に教育再生実行会議は第5次提言(「今後の学制等の在り方について」)で、「実践的な職業教育を行う高等教育機関を制度化する」ことを提言、これを受けて文科省は10月に「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」を立ち上げ、有識者会議は15年3月に「審議のまとめ」を公表しました。そして、この有識者会議の「審議のまとめ」を受けて15年4月、中教審に特別部会を設置して審議、今回の答申となったものです。 こうした経過をみると、「専門職業大学」という実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化は、大学・短大側の抵抗にあって「職業実践専門課程」の創設が行われたものの、教育再生実行会議で提言されたのを機に再び制度化が日の目を見るようになったということが分かります。

 今回の中教審答申を受けて「専門職業大学」が創設されると、職業実践専門課程の位置づけが中途半端なものになりかねません。職業実践専門課程が創設されたときには、玉石混淆と言われる専門学校(専修学校専門課程)に対して、一定の教育水準が担保され、情報公開も義務づけられたことから、専門学校教育の質の充実・向上が図られると考えられ、また、将来的に「専門職業大学」が制度化されたときには、職業実践専門課程に認定された学校の中から、「専門職業大学」に昇格していくのではないかと考えられていました。専門学校関係者の中にも、そうした見方をする人も少なくありませんでした。ところが認定された学校をみると、教育の質に問題があり、情報公開も不十分な専門学校が職業実践専門課程に認定されてしまっているという実態があり、職業実践専門課程に認定されることが必ずしも教育の質保証になっていないこと、そして職業実践専門課程が「専門職業大学」昇格へのワンステップになるわけではなく、「専門職業大学」は既存の大学を含めて独自に認可される大学となりました。

 高校現場からすると、専門学校(専修学校専門課程)、専修学校職業実践専門課程、「専門職業短期大学」、「専門職業大学」、短期大学、大学と、生徒の進学の選択肢は増えていくことになりますが、各学校種の特色、位置づけを理解した上で進路指導をしていく必要があります。しかし、専門学校 と職業実践専門課程の違い、職業実践専門課程と「専門職業大学」との違いを高校教員がどこまで理解して指導できるのか、疑問と言わざるを得ません。

 とはいえ、実践的な職業教育に特化した新大学が創設されることは、大学などのアカデミックな教育を上に、職業教育を下に見る社会的風潮に風穴を開ける可能性もあります。これまで大学、特に文系の大学は「職業実践的な教育から隔離されたアカデミックな機関だという壮大なフィクション」を守り続けてきましたが(濱口桂一郎『若者と労働』中公新書クラレ、2013年)、「教育と職業の密接な関係」に向けた新大学の創設は、大学の位置づけを変え、「教育と職業の密接な無関係」を名実ともに「密接な関係」に転換していく突破口になる可能性を持っています。そのためにも、「専門職業大学」がどのような特徴を持った職業高等教育機関となるのか、注目していく必要があります。


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